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ちょっとしたブームになっている「から揚げ」。誰でも食べたことのある庶民的な料理だが、意外にその由来は知られていない。食事情に詳しいライター・編集者の松浦達也氏がニュースや著名人などに縁のある料理を紹介する「日本全国縁食の旅」。「から揚げ」の「謎」に迫ります。
諸説あるが、大元は奈良時代にさかのぼる。遣唐使を通じて、唐から食べ物を油で揚げる技法が伝わった。そしてその技法が江戸後期~明治時代にかけて、鶏肉を食べる文化とともに広まったという。一般に「唐揚げ」と書かれるのはこのためという説だ。 一方、日本唐揚協会のHPでは「江戸時代初期に中国から伝来した普茶料理では『唐揚げ』」と呼ばれていた」という説も紹介されている。
1973年に定められた、当用漢字音訓表で「空」を「から」と読むことができるようになり、「空揚げ」との表記も一般的に使われるようになった。 味わいで現代のから揚げの原型とも言われるのが、愛媛県今治市に伝わる郷土料理「せんざんき」だ。『やきとり天国』(土井中照)によれば、その語源は中華料理で鶏のから揚げを指す「軟炸鶏(エンザーチ)」や「清炸鶏(チンザーチ/センザーチ)」にあるという。 昭和初期、満州から引き揚げた飲食店の店主が現地で教わった料理を供するようになったことから始まったというのだ。千数百kmも離れた北海道発祥のザンギと似た響きなのは、語源が同じ「炸鶏(ザーチー)」から来ているという説が有力だ。
衣をつけた鶏の揚げ物と言えば「竜田揚げ」もある。この料理は百人一首にも選ばれている「ちはやふる神代もきかず龍田川からくれなゐに水くくるとは」という在原業平の歌からとったもので、「龍田川に流れる紅葉の様を思って、龍田揚げとした」(『たべもの語源辞典』/編・清水桂一)と、こんがりと揚がった姿を指しているという。
揚げたてを噛むと肉の線維の間から、じゅわぁっと肉汁がしみ出すジューシーさ。誰かと共に食べてもいいし、一人でかぶりつくのもいい。
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